【まとめ】劣等感の意味とは?心理学・哲学・仏教などから正しく学ぼう

    目次

    劣等感の一般的な意味

    他人と比べて
    自分が劣っていると感じる

    それが『劣等感』です。

    完全に主観的なもので、まわりのみんなが勝って
    いると思っても、本人が負けていると感じれば、
    それは劣等感です。

    劣等感は、他人と競争する意識から生まれます。

    英語では inferiority complex と呼ばれます。
         インフェリオリティ  コンプレックス

    反対の意味の言葉は『優越感』

    似た意味の言葉は『コンプレックス』です。

    劣等感とコンプレックスの違い

    『コンプレックス』『劣等感』よりも広い意味
    で使われる心理学用語です。

    例えば「結婚」という言葉を聞いた時、特になん
    とも思わない人もいれば、聞かれてもいないのに
    結婚について熱く語り出す人もいます。

    結婚にコンプレックスを持っている人は、その言
    葉を聞いた時に感情的になってしまいます。

    このように強い感情とセットになっている状態
    『コンプレックスがある』と表現します。

    『劣等感』も似たような意味です。

    体形に劣等感を持っている人なら、スタイルの良
    い人を見た時に悔しがったり、羨ましがったり、
    強い感情が働きます。

    『劣等感』と『コンプレックス』

    厳密に言えば別物ですが、日常生活で違いを意識
    しないといけない場面は少ないかもしれません。

    アドラー心理学から学ぶと良い

    有名な心理学者として、必ず名前があがるのが、
    フロイト・ユング・アドラー の3人です。

    その中で『劣等感』というものを、前向きに深く
    掘り下げたのがアドラーです。

    重要なのは【前向きに】という点です。

    一般的に『劣等感』は悪い意味で捉えられがちで
    すが、人間の成長には欠かせないものです。

    アドラーは「器官劣等性」というものを考えて、
    人間には『劣っている部分を補償する力』がある
    ことに注目しました。

    なんか難しい言葉が出てきたが‥‥

    器官劣等性ね。

    劣っている部分を補償する?
    意味がわからないぜ。

    なるべく簡単に考えましょう。

    例えば、勉強の苦手な子供が、得意なスポーツを頑張って良い成績を残す、みたいな事ね。

    ああ、そんな理解でいいのか。
    弱点を他のことでカバーするんだな。

    劣等感は悪いものではないのよ。

    人間なら誰もが持っていて、それを乗り越えて成長したり、他のことで補ったりも出来るの。

    劣等感との向き合い方しだいで人生が変わること
    を教えてくれるのがアドラー心理学です。

    劣等感の仕組みも理解できます。
     
    前向きに対処して、心が折れること無く成長し続
    ける考え方を身につけましょう。

    努力→成長→自信→やる気

    劣等感を前向きに捉えるための、とても重要な
    キーワードが4つあります。

    努力 成長 自信 やる気  

    これらを図で表してみます。

    努力すれば成長できる

    成長したら自信がつく

    自信がつけばやる気が出る

    やる気が出れば努力できる

    努力すれば ・・

    このポジティブな循環は、劣等感を前向きに捉え
    るために必要な考え方です。

    非常に重要な流れなので覚えておいて下さい。

    やる気のメカニズムを詳しく

    劣等感が生まれる仕組み

    劣等感は人間の成長と挫折に大きく影響します。
     

    すぐに心が折れてしまう人と、
    努力を続けられる人の違いは何なのか?

     
    劣等感の仕組みがわかれば答えが見つかります。

    階段をイメージしよう

    劣等感の仕組みは階段をイメージするとわかりやすくなります。

    この階段は、努力と成長 の階段です。

    努力して階段を上れば成長できて、自分に劣等感
    を与える人に近づけます。

    成長できれば、それが自信となって次の段に挑戦
    する勇気が手に入ります。

    現代人は、知らないうちに劣等感まみれで生きてるのよ。

    そうなのか?あんまり自覚ないけど。

    テレビやスマホを見たら、自分より優れている人ばかり出てこない?

    ‥‥まぁ、そうかな。アナウンサーは綺麗な人ばかりだぜ。

    ビジネスで成功した人は、私よりだいぶ年収が高いし‥‥

    容姿や年収、スポーツや名声。

    好感度や幸福感なんかもそうね。

    自分より優れていると感じたら、すべてのケースで劣等感の階段を無自覚に作ってしまうのよ。

    『年収』に劣等感を持つ人の階段を見てみます。

    年収300万円の人が 年収1000万円の人に劣等感
    を持つと、こんな感じになるでしょう。

    人間は「自分が劣っている」と感じたら、このような階段を無自覚に作り出しちゃうのよ。

    まぁ、なんとなくわかるんだぜ。

    300万から1000万にしたかったら、当然、努力が必要だな。

    そうそう。
    年収でも勉強でも、容姿だって努力しないと優れた人には近づけない。

    努力の階段を上らないと、成長はできないのよ。

    努力するのがイヤで、あきらめてしまったら現状維持ってことね。

    階段を上るのか?逃げるのか?

    劣等感が生まれた時、それを克服しようとする人
    と、努力から逃げる人に分かれます。

    努力をすることから逃げる場合は、2つの道のど
    ちらかを歩みます。

    ① 言い訳をして逃げる
    ② 優れているフリをして強がる

    ① 階段を上るのがイヤで逃げる時は、ただ逃げ
    るだけでは恥ずかしいので、逃げて当然だと自分
    を納得させる『言い訳』を作り出します。

    階段を上るのはツライからイヤだ。
    かと言って、逃げる自分も許せない。

    そんな八方ふさがりな状況で生まれるのが
    逃げる言い訳』です。

    年収に劣等感を持つ人だったら、学歴の低さや、
    性格などを言い訳にするかもしれません。

    ② 優れているフリをして強がる場合は、他人に
    嘘をつくことになります。

    本当の自分は隠して『嘘の自分』を演じます。

    無理して高い車に乗ったり、高級ブランドで身を
    固めたりするかもしれません。

    これは明らかに劣等感の裏返しです。

    わかりやすいから年収で説明したけど、勉強や仕事、ダイエットとか、その他すべての劣等感でも同じよ。

    劣等感に耐えられなくなったら、このように言い訳したり強がったりして、劣等感から目を背けるの。

    なるほどな。学歴が低いことを、親からの教育のせいにしたりするのも、逃げる言い訳なんだな。

    その通りね。
    学歴に劣等感を持っているなら、それを乗り越える道はたくさんある。

    学歴が低くても成功してる人なんて、世の中には山ほどいるわ。

    劣等感をこじらせると、他人に責任を押し付けて、努力しない自分を正当化しちゃうのよ。

    そして、もっとこじらせてしまうと、学歴が高い嘘の自分を演じるようになるんだな?

    そんな感じね。嘘の自分を演じて、本当の自分を隠し続ける。

    じゃあどうしたら、逃げたり強がったりせずに階段を上れるんだ?

    劣等感を克服する話はこれからするわ。超重要だから気合を入れてね。

    成長できない心理を深掘りしたい方へ

    克服する方法はひとつ

    劣等感との向き合い方を変えれば、成長しない生
    き方から抜け出すことができます。

    努力したいけど、やる気が出ない。
    いつも三日坊主で終わってしまう。

    こういう人は、自分でもわからないうちに劣等感
    に行動を支配されています。

    克服するために『向き合い方』を変えましょう。

    まずは、今いる場所を受け入れる

    劣等感を克服したかったら、まずは自分の現在地
    を把握して下さい。

    テストの点数・仕事の成績・年収・貯金
    健康・容姿・恋人の有り無し・・・

    素直に現実そのままの自分を受け入れて下さい。

    弱い自分を認めて下さい。

    そして、他人と比べずに、『最初の一段』を乗り
    越えることに集中しましょう。

    目指すべきは『最初の一段』

    努力して劣等感の階段を上る人は、自分の現在地
    を素直に受け入れる人です。
     
    仮にテストで50点をとったとして、100点
    他人と比べた場合を見てみましょう。

    50点を取った人の階段

    これでは100点を取るまで劣等感が続きます。

    一段目の60点なんて眼中にありません。

    成長したいと思っても、最初の一段目がバカバカ
    しく思えて、なかなか行動に移せません。

    「私は50点なんだ」と素直に認めましょう。
    そして、目の前の『一段目』に注目しましょう。
     

    目の前の60点に注目する人のイメージ

    弱い自分を受け入れるのは『勇気』が要るわよね。

    負けを認めるってことだからね。

    そうだな‥‥ だから他人と比べちゃいけいないんだな‥‥

    他人と競争するから、負けてる自分を受け入れるのが難しくなる。

    たしかに階段の上ばかり見ていたら、最初の一段目がバカバカしく感じるかもしれないぜ。

    他人との『勝ち負け』ではなくて、自分の『成長』に目を向けるのよ。

    自分より優れている人なんて、世の中にはいくらでもいるんだから。

    他人との競争には終わりが無い

    自分の居るレベルを素直に受け入れて、そこを出発点として、一歩でも前に進みましょう。

    なるほどな。理想ばっかり高くたって、行動しなかったら意味が無いぜ。

    最初の一段目が、一番大事なんだな。

    その通りよ。
    努力から逃げる言い訳を考えたり、他人より優れているフリをする必要なんて無いのよ。

    低い一段目なら、努力して上れる

    『努力』は必ずしも、『勝利』を保証するものではないけれど、
    『成長』には必ずつながるの。

    努力は絶対に魔理沙を裏切らない。

    えらくカッコつけてるけど、言いたいことはわかるんだぜ。

    常に自分の現在地を見つめ直して、素直にそれを受け入れて、目の前の一段に挑戦し続ける。

    心を折らずに成長し続けるには、それしかないんだな。

    行動しなかったら何も始まりません。

    高い理想を掲げるよりも、現実を素直に受け入れ
    て、低い『一段目』を上る。

    たとえ低くても上れれば、それが自信となって、
    次の段に挑戦する『勇気』が手に入ります。

    克服の仕方をもっと知りたい!

    強い劣等感を感じる原因

    自分と他人を比べるから劣等感は生まれます。

    自分と他人を比べてしまうのは、人間の本能のよ
    うなものです。

    つまり、あなたの近くに一人でも他人がいれば
    劣等感からは逃げられません。

    スマホでつながる人も劣等感を与えてきます。

    考えれば考えるほど、人生って劣等感まみれじゃないか。

    インターネットで情報に触れれば触れるほど、劣等感も増えていく。

    インスタとかのSNSなんか、大げさな『幸せ自慢』ばかりだしね。

    幸せアピール、ムカつくんだぜ。

    わざわざ『幸せ』をアピールしたがるのは劣等感の裏返しね。

    努力して成長することよりも、自分を現実以上に大きく見せて、

    偽りの優越感にひたる方にエネルギーが向いてしまっている。

    『幸せ』というフィールドで、競争を仕掛けて来てるんだな。

    そんな感じでしょうね。
    自分は幸せだって感じてる人だったら、そんな無駄な事しないでしょう。

    わざわざ周りの人に劣等感を与えることで、自分は優越感を得る。

    私だったらそんな人嫌いになるわ。

    いわゆる『マウント』ってやつだな。

    劣等感を感じる原因はさまざまです。

    ・他人が褒められるのを見る
    ・同期が先に出世する
    ・彼氏の方がモテる
    ・彼女の方が頭が良い
    ・親からの教育
    ・病気になる   etc‥

    そんな中で、特に強い劣等感を感じる原因は、
    「劣等感を与える人」の影響です。

    ことさらに自分が優れていることをアピールして
    あなたに劣等感を植え付けようとします。

    努力することから逃げて、他人を貶めることで、
    自分の価値を高く見せようとする人です。

    このような人の行動を、アドラー心理学では
    【価値低減傾向】と呼びます。

    近くに居たら、意味もなく劣等感に苛まれた日常
    を送ることになるので注意しましょう。

    劣等感を与える人もそうだけど、親からの教育も、劣等感に大きく影響するんじゃないのか?

    その通りよ。
    よその子と比べて叱ったりする親は、子供の劣等感を増大させるわね。

    そんなのが続いたら、他人と比べるのがクセになっちゃうんだぜ‥‥

    前向きに努力する生き方を子供にして欲しかったら、親も『劣等感』を勉強しないといけないわね。

    劣等感を与える人への対処法

    あなたに劣等感を与えてくる人は、その人自身も
    強い劣等感を抱えています。

    自分の弱点を隠すために、勝てるジャンルで他人
    を負かそうとします。

    そんな人と仲良く付き合う為には、負けを認めて
    勝ちを譲ってあげるのが賢明です。

    私が望んでない戦いを挑まれてるのに、負けを認めないといけないのか?

    そうね。相手は劣等感の裏返しで、なんとか魔理沙に勝ちたがってる。

    だったら勝たせてあげましょう。

    どうしてだ?劣等感から逃げるのは、その人が弱いからじゃないのか?

    負けてあげる必要なんて無いんだぜ。

    その気持ちはとてもよくわかるわ。

    劣等感を与えてくるような人は、問題を克服する為に努力したり、

    いさぎよくあきらめるなりして、自分で処理して欲しいわよね。

    そうだ。私は何も悪くないぜ。

    まぁそうなんだけどね。

    でもね、相手は『勝ちたい』と強く願っていて、魔理沙は『負けたくない』と思ったらどうなる?

    ‥‥まぁ、ケンカになるだろうな。

    ケンカなんかしても得は無いの。

    相手と良い関係を作ろうと思ったら、まずは相手に冷静になってもらわないといけない。

    その為には『勝ちたい』という相手の願いを叶えてあげる。

    魔理沙の意見を主張するのは、それからでも遅くないはずよ。

    劣等感を与えてくる人に対処する

    うつ病とのつながり・診断方法

    劣等感と向き合わずにこじらせると、心が病んでしまうことがあるわ。

    それが『うつ病』よ。

    うつ病と劣等感って関係あるのか?

    大ありよ。うつ病の多くは、強い悩みや、多すぎる悩みから始まるの。

    悩みで頭がいっぱいになると、人間は楽しいことを考えられなくなる。

    ‥‥余裕が無くなるってことか?

    イメージはそんな感じね。

    脳の処理能力が『悩み』にばかり使われてしまって前向きになれない。

    眠れなくなったり、食欲が湧かなくなったりするのよ。

        ※ 別冊NHKきょうの健康『よくわかるうつ病』を参照

    ふむ‥‥
    うつ病は悩みから始まるんだな。

    全てのケースで当てはまるわけじゃないんだけど、起点として大きい意味を持つのは確かね。

    この本では『ストレスが重なって脳がパンクする』と書かれているわ。

    ◆うつ病を知る最初の一冊に最適
    うつ病とはどんな病気なのかを、
    わかりやすく解説している本です。
    普段、本を読まない人でも理解し
    やすい内容です。

    よくわかる うつ病 別冊NHKきょうの健康

    悩みで頭がいっぱいになるっていうのと、同じような意味ね。

    悩みがうつ病と深く関係しているのはわかったぜ。

    劣等感とはどうつながるんだ?

    劣等感悩みは同じものなのよ。
    だから、うつ病とも深く関係する。

    ???
    悩みと劣等感が同じ?

    悩みと劣等感は同じ

    そうなのよ。
    他人と比べて自分が劣っている、という感覚が劣等感ね。

    悩みも同じなの。

    例えば、魔理沙の会社が業績不振で、退職をうながされたら困るわね?

    急な話だったら、そりゃ困るぜ。

    悩む?

    悩むというより、とにかく他の仕事を探すと思うぜ。

    なかなか他の仕事が見つからなかったらどうなる?

    困るぜ。とにかく困る。

    ここまでの状況だったら、魔理沙は『もっと他の仕事を探す』とか、

    『仕事をせず生きる方法を探す』という方向にエネルギーを向けるわね。

    だろうな。理想を下げて雇ってもらえそうなところを探したり、

    実家に帰ったり、結婚を急いだりするかもしれないぜ。

    じゃあ、魔理沙の同僚が、みんな再就職先を決めてたらどうなる?

    えー?
    わたしだけ雇ってもらえないのか?
    それはつらいぜ。悲しくなる。

    悩む?

    悩むぜ。どうして私だけ‥‥って。
    もっと頑張らないとって思う。

    他人を意識しなかったら、人間は困るだけなのよ。

    困った‥‥どうしよう?
    困った‥‥どうしよう?


    状況を打開するために、あらゆる手段を考え続ける。

    でも、ここに『困っていない他人』が登場すると話が変わってくるわ。

    自分のやり方が悪いんじゃないか?
    努力が足りないんじゃないか?

    そんな『悩み』が生まれてしまう。

    なるほど。
    確かにひとりぼっちだったら、自分が悪いなんて発想は生まれないぜ。

    自分より優れた他人を意識するから劣等感が生まれる。

    悩みも同じなのよ。

    悩みはうつ病につながる。

    悩みと劣等感は同じもの。

    だから劣等感はうつ病につながる。

    そうそう。私が言いたかったのはそういうことよ。

    うつ病と劣等感のつながりと診断方法

    苦しい劣等感は捨てられるのか

    魔理沙が劣等感に苦しんでいて、それを捨てたいと思ったらどうする?

    なんだよ急に。劣等感を捨てる?

    そう。劣等感があると、みじめで苦しいから捨ててしまいたい‥‥

    そんなふうに思ったらどうする?

    んー・・・? 劣等感なんて無くせたら気楽に生きられるんだろうが、そんなの無理だと思うぜ。

    悔しい‥‥妬ましい‥‥みじめだ‥‥

    そんな感情って、他人に負けてたら自然と湧き上がるもんじゃないか?

    おっしゃる通りね。
    劣等感は、イヤでも感じてしまう。

    それぐらいわかるんだぜ。

    じゃあ、魔理沙はなぜ、劣等感を感じてしまうのかな?

    負けたくないと思ってるからだ。

    じゃないと、負けて悔しいとかみじめだなんて思わないぜ。

    その通り。
    魔理沙に限らず、人はみんな「他人に勝ちたい」と願っている。

    そういう『欲』を持っているわ。

    仏教から学ぶ

    劣等感を捨てる方法を知りたかったら、仏教から学ぶといいわよ。

    良い本があるから紹介するわ。

    ◀  苦しみを手放す心の訓練
    あなたの心が苦しむ仕組みをわかり
    やすく解説してくれる本です。
    苦しみを手放す為には、心の反応を
    観察して、それがおかしな反応では
    ないか、考えないといけません。

    反応しない練習 amazonリンク

    反応しない練習?

    心の苦しみを捨てる練習ね。

    『反応』って何のことだ?

    人間が苦しむのは『欲』を持っているからなのよ。

    他人に勝ちたい
    認められたい
    楽をしたい


    そんな欲が満たされない時、魔理沙の心はどうなるかしら?

    欲が満たされない時‥‥

    悔しかったり、悲しかったりするんじゃないかな。

    そうよね。それが『反応』よ。

    欲が満たされたら、心は気持ち良いという反応をする。

    逆だったら不快な反応をする。

    当然、そうなるだろうな。

    他人に勝ちたいという欲が満たされない時に、苦しむ反応が劣等感よ。

    『反応しない練習』

    言い換えれば、劣等感を感じないようにする練習ね。

    そんなこと出来るのか?

    欲が有るかぎり、それが満たされずに心が反応しちゃうのは、仕方ないと思うんだけどな‥‥

    反応を完全に無くすのは無理でも、それを弱める方法はあるのよ。

    簡単に流れを説明するわ。

    冷静に反応を見る

    まずは心の反応を観察してみるの。

    イライラしたり、悲しくなったり、落ち込んだりしたら、そんな反応を見るようにしましょう。

    まずは心の反応を見る‥‥

    そうすれば、自分を外から観察する『冷静な自分』が生まれるでしょう?

    まぁ、反応する自分と、それを見る自分の二人になったな。

    劣等感とは心の反応よ。

    劣等感に振り回されないためには、心の反応を抑えるもう一人の『冷静な自分』が必要なの。

    たしかに、いつも冷静な人って、自分を客観的に見てる印象があるな。

    まずは心の反応を見る。

    それが出来たら、次はその反応を正しく理解していくのよ。

    正しく理解する‥‥

    そう。反応を見た後は、それを理解するように努めるの。

    こんなふうに考えてみましょう。

    なぜ、こんな反応をするのか?

    反応のままに行動したら、どうなってしまうのか?

    原因を考えて結果を想像する

    心が反応する『原因』がわかれば、それに対処する方法も見つかるわ。

    なぜ、こんな反応をするのか?

    欲が満たされないことが原因だけど、そこをもっと掘り下げるのよ。

    満たされない欲が、どんな欲なのか考えるってことか?

    そうね。もし、イライラしてしまったら、どんな欲が邪魔をされてイライラしてるのか考えるの。

    たとえば前を走る車が遅くてイライラした場合、早く目的地に着きたいという欲があるはずね。

    遅刻したらカッコわるい
    焦ってる自分を見られたくない

    自分を良く見せようとする欲が、焦りを生んで、イライラという反応を引き起こしている。

    その流れはなんとなくわかるぜ。

    原因を考えた後は、結果を想像する。

    反応のままに行動したら、どうなってしまうのか?

    イラついたままに行動したら、車間距離を詰めたり、クラクションを鳴らしたりするかも知れないわね。

    うーん‥‥ 車間は詰めるかも。

    そんな時の魔理沙は、前を走る人の都合なんて無視してるでしょうね。

    当然、追突の危険性も上がる。

    悪いことなんて何もしてない前走車に、ストレスを与えようとする。

    ・・・

    心がやっかいな反応をしたら、まずはその反応を見て、原因を考えて、結果を想像しましょう。

    そうすれば必ず反応は弱められる。

    イライラだけじゃなく、苦しい劣等感も同じことよ。

    苦しんでる自分を見て、原因を考えて、結果を想像してみるの。

    心が敏感すぎる人へ

    ニーチェの哲学と劣等感

    魔理沙はニーチェって知ってる?

    名前は聞いたことあるな。

    なんか、前向きな名言をたくさん残した人じゃないのか?

    そんなイメージがあるかもね。

    結婚式のスピーチにも、ニーチェの言葉が登場したりするからね。

    そうなんだな。
    ニーチェってどんな人なんだ?

    今から100年以上前に亡くなった、ドイツ出身の哲学者だね。

    この人は、私たちのような現代人の『心の病』を予言したのよ。

    ・・・?
    なんだ、現代人の心の病って。

    『ニヒリズム』よ。

    わかりやすく言うと、生きていることに意味を感じられなくて、

    日々の生活を、受け身でダラダラと過ごしてしまうような状態ね。

    価値観が崩れ、ニヒリズムに陥る

    ニヒリズムねぇ‥‥
    私もその心の病を患ってるのかな?

    程度の差はあるだろうけど、多くの人が苦しんでいると思うわよ。

    生きてる意味なんてあるのかな‥‥

    何を頑張れば幸せになれるのか、よくわからないな‥‥

    そんなふうに思ったことはない?

    なんか気分が落ち込んだりした時に、ふと思うことはあるぜ。

    いろんなことが、どうでもよくなっちゃうような感覚だよな。

    そう。一言で表すなら『絶望』ね。

    『価値がある』と思えることを見失うと、そんな状態になってしまう。

    お金を稼ぐことや、他人に優しくする生き方とか、結婚・恋愛。

    価値があると思えたら、それを実現するために頑張れるわ。

    でもそれが無くなってしまうと、生きる目標を失って無気力になる。

    まぁ、何をやっても意味が無いと思ってしまえば無気力にもなるぜ。

    現代では、その価値があるものが無くなってしまったってことか?

    そうそう。

    何が良くて、何が悪いのか?
    何に価値を感じるのか?

    そんな問いへの答えが価値観ね。

    現代では、みんなが信じられる価値観が失われてしまったわ。

    自信を持って「これは良いぞ」と言えるようなものが無くなった。

    ・・・

    恋愛 結婚 子育て マイホーム
    一流企業への就職 神への信仰

    昔は『これをやっておけば幸せだ』と多くの人が信じていたけど、今ではみんな疑心暗鬼だわ。

    価値観って何?

    たしかに、離婚する人は増えたし、恋愛に興味を持たない人もたくさんいる気がするな。

    マイホームもそうかな‥‥

    借金してまで、住む場所とか、維持・管理に縛られるなんてバカらしいと言う人もいるんだぜ。

    一流企業もバタバタと倒産したし、心の底から神の存在を信じる人も減ってしまった。

    神様を信じられなくなったら、道徳的な考え方を疑う人も出てくる。

    そうやって価値があるものを失った現代人は、絶望してニヒリズムに陥ってしまうのよ。

    ニヒリズムとは?

    物事の価値が失われる時代

    それがニーチェの主張だな。

    色んなものに価値を感じられずに、目標を失ってニヒリズムに陥る。

    私自身にも心当たりのある流れだ。

    ニーチェは、ニヒリズムが蔓延する世の中が来ると予言して、その解決策を考えたのよ。

    ニヒリズムから、絶望から、抜け出す方法を考えた。

    何だそれ。気になるんだぜ。

    自然科学が発達した現代では、ものごとに価値を感じるのは難しい。

    私たちは自由にものごとを考えて、自分の意思で何をするかを決めていると思ってるけど、

    遺伝子の解読に成功した今では、それは幻想だとわかってしまったわ。

    ・・・?

    人間の欲望は、遺伝子によって操作されているのよ。

    肉と魚が目の前にあって、魔理沙が『魚を食べたい』と思う前に、遺伝子から命令が下される。

    脳の中で電気が流れて、魚が食べたいと思わせる。

    魔理沙の脳みそをスキャンしていれば、魔理沙が魚を欲する前に、どちらを選ぶのかわかってしまう。

    私の行動は、私がそうしようと思う前から決まってるってことか?

    決まってるか、無作為に選ばされるかなんだけど、どっちにしろ魔理沙の意思で選択してるんじゃないの。

    脳に電極を埋め込まれたラットは、リモコンで電気を流せば好きなように操作できるらしいわよ。

    ラット自身は、操作されてる感覚なんて無いはずね。

    なんか面白くない話だな。

    私も脳のどこかに電気を流してもらったら、すごい集中力を発揮したり出来るわけだな。

    そう。どこに電気を流すかは遺伝子が決めているわ。

    そこまで考えちゃったら、人生に意味や価値なんて感じられないぜ。

    何かを頑張って成し遂げても、それは遺伝子のおかげなんだろ?

    まぁ、遺伝子のパターンと環境がそうさせたという事になるわね。

    科学が発達したおかげで色んなことが理解できるようになったけど、

    人間が生きる意味や価値を与えてくれたりはしないのよ。

    むしろ、人間はただの物質で、ただそこに存在しているだけで、

    生きていることに意味なんて無いって教えてくれるだけね。
     
    人間は原子の集まりだと考えたら、神様も登場できる隙はないわ。

    そこら辺に転がっている石ころと、人間は同じというわけだな。

    突き詰めて考えればね。

    科学が発達して、今まで信じられていた価値観が崩れてしまった。

    まぁ、なんとなく分かる話だぜ。

    人間は自分の意思で決断して、自由に生きているのではない。

    何か特別な存在でもなくて、突き詰めて考えれば石ころと変わらない。

    生きる指針となるような、神様みたいな存在も姿を消した‥‥

    じゃあ、人間が幸せに生きるにはどうしたらいいんだ?

    何を目標に生きればいいんだよ?

    超人になることを目標にする

    そんな、意味も価値も感じられない世の中を、絶望せずに生きるにはどうしたらいいのか?

    ニーチェは超人を目指せと言った。

    生きる意味や価値を自分で見つけ出し、それに向かって上昇志向で生きるのが『超人』よ。

    ???
    価値があるものなんて無い世の中で、価値を見つけ出す?

    矛盾してるんじゃないのか?

    そうね。矛盾しているわ。

    でも、生きる意味とか頑張る価値

    そんなものに頼らなくても、前向きに楽しく生きられた時代が、魔理沙にもあったんじゃない?

    ‥‥子供の時とか?

    子供は余計なことなんて考えない。

    脳の仕組みや体の組成なんて、子供にとってはどうでもいいことよ。

    やりたいと思うことをやって、イヤなことは拒絶する。

    飽きたら違うことに興味を持って、楽しければ時間なんて気にせずに楽しもうとする。

    子供の成長が早いのは、余計なことを考えずに、したいように、がむしゃらに行動するからよ。

    たしかに子供は超人だな。

    余計なことに振り回されずに、自分にとって価値があるものを、感覚で見つけ出す‥‥

    そう。他人との勝ち負けや、正しいか間違ってるかなんて気にしない、自分の感覚だけの世界よ。

    意味や価値なんて、どうでもいい
    そんなふうに思える世界ね。

    でも大人になったら、子供のようには生きられないぜ。

    無邪気に楽しんでいるだけじゃ、生きていくのは難しいはずだ。

    その通り。自分勝手に生きていたら、たぶん嫌われたりして孤立する。

    生きていく為に必要なお金も稼がないといけないわね。

    そうそう。人生は甘くないぜ。

    だからニーチェは、超人になる過程として、3つの段階を考えたのよ。

    らくだ → 獅子 → 子供

    らくだのように重荷を背負いつつ、着実に人生を前に進める。

    そして、獅子のように自由に行動できる『力』を身につける。

    その『力』を行使して、子供のように無邪気に生きる。

    ‥‥‥

    なるほどな‥‥‥

    子供のように無邪気に人生を楽しむには、まずは『力』を身につけないといけない‥‥

    私は、その『力』というのは『自立』だと考えているわ。

    他人に依存せずに、自分の思うように生きていく力よ。

    たしかに、『自立』することだと考えるとわかりやすいな。

    群れの中で最強の獅子は、自分の行いに迷いを感じたりしない。

    自分の行いを否定するような価値観に、振り回されたりしない。

    ルサンチマンは劣等感

    人間は、自信を失ってしまうと、何かに頼りたくなるわ。

    弱い自分を、受け入れてくれるような『価値観』を探すようになる。

    弱者を救ってくれる神のような存在
    強者を『悪』とみなすような考え方

    そういったものに逃げたくなる。

    ・・・

    自分を高めることから目を背け、

    弱いままで良いと言う神様を信じ、

    強いことは『悪』だと考えたがる。

    それは弱い自分をなぐさめる為だな。

    お金とか社会的な地位とか、自分より強い人には勝てないから、

    弱いままで良いと思いたくて、弱者に優しい価値観に逃げたがる。

    お金持ちを強欲だと批判したり、権力者は自分勝手で傲慢な人間だと決めつけたりするわけだな。

    そうそう。自信を失うと、人はそうなってしまいがちなの。

    自信を無くす原因は『劣等感』よ。

    誰だって、負けてばかりでは自信を失ってしまうわよね。

    しかも、自分より優れている人の情報なんて、イヤでもたくさん目や耳に飛び込んでくる。

    他人との競争には終わりが無い。

    人は劣等感と生きるしかない

    そりゃそうかも知れないけど、劣等感を持ち続けるのは苦しいんだぜ。

    そうね。今の世の中では神様は信じられないから、強者を悪く思う方に逃げがちだわ。

    ニーチェは、弱者が強者に対して持つ、恨みや妬みなどの感情を
    『ルサンチマン』と呼んだ。

    ルサンチマン?
    聞いたことない言葉だな。

    劣等感から目を背けて、強者を悪く思うようになるのがルサンチマンよ。

    ルサンチマンは劣等感

    芸能人の悪口をSNSで発信したり

    美人や金持ちの不幸を喜んだり

    陰でコソコソ同僚の悪口を言ったり


    これらはすべて劣等感から逃げることで生まれる行動よ。

    すでに話したけど、アドラー心理学で『劣等コンプレックス』と呼ばれる心理もこれと同じね。

    劣等感から逃げる心理とは?

    超人を目指すしかない

    劣等感から目を背けたら、弱者に優しい価値観に逃げたくなる。

    だけど現代では、もうそんな優しい価値観なんて無いのよ。

    ものごとの価値なんて、考えれば考えるほど、調べれば調べるほど遠のいていってしまうわ。

    さっきもそんな話が出たな。

    結局、私を劣等感から救ってくれる価値観なんて無いってことだな。

    お金持ちとか成功者とか、見た目が美しい人の価値を下げるような意見ってよく聞くけど、

    そんな『価値の測り方』に頼って自分をなぐさめても、自分が劣っている事実は変わらないな。

    その通りよ。

    負けを認めて、そこから自分なりの生き方を探っていくのか

    勝つために努力をするのか

    どちらにせよ、劣等感と向き合って、らくだのように前に進まないといけないってことね。

    うん。なんとなくわかってきたぜ。

    最終的には『自分はどうなのか?』に行き着くわけだな。

    他人の方が優れていても、そんなのは私の人生には関係が無い。

    重要なのは、私が、私の人生に納得できるかどうかだぜ。

    そう。その納得できる人生を送るために、超人を目指すのね。

    子供のような無邪気さで、自分らしく生きるために、まずは自立するの。

    そうだな‥‥
    ちょっと抽象的な目標だけど、やるしかないんだぜ。

    アドラー心理学の解説で『自立』も扱ったから、具体的な話はそちらを参考にしてみてね。

    自立して生きる為に

    よかったらシェアしてね!
    • URLをコピーしました!
    目次