今日のポイント
共同体感覚の基礎づくり
今日から数回に分けて、他人と対等につきあう
「横の関係」について解説していきます。
横の関係での生き方が出来るようになれば、
アドラー心理学の最終目標
「共同体感覚」に近づくことができます。
YOUTUBE【ゆっくり解説】
感謝が勇気を補充する

『勇気』は褒められることで得られるんじゃないか?
「共同体感覚を身に付けると、他人に感謝されて、勇気を補充できる」
ミコトはそう言ったけど、わたしは感謝なんかされるよりも、
褒められたり、自分の能力を認めてもらう方が勇気を得られると思う。

前回の内容
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アドラー心理学⑦共同体感覚は人生に立ち向かう勇気を補充する
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たしかに褒められたり、自分の能力を認められたりすると嬉しいよね。
「ありがとう」
「君のおかげで助かった」
こんな感じで感謝されるよりも、
「君はすごい」
「君はえらい」
こんなふうに褒められた方が、自分の価値を実感できるわ。


感謝されるよりも、褒められる方が嬉しいということだね。
‥‥‥
なんかこの流れ‥‥‥
アドラーに否定される流れのような気がするわね‥‥‥


恰好よく否定しようと思ったのに。


一般的に、褒められたり、能力が認められることを求める気持ちを承認欲求と呼ぶのは知ってる?




でも話が早くて助かるよ。
『褒めること』も『叱ること』も、アドラーは否定したんだ。
「アメとムチ」は
他人を操作する手段


ここまでは読めなかったようだね。
だいたい人に何かを教えたりする時は、アメとムチを使い分けるのが常識じゃない。
アメもムチも使わずに、どうやって相手をコントロールするのよ。


他人との間に「横の関係」を作ることができれば、アメとムチなんて使わずに済むんだ。
横の関係‥‥


つまり、良いことをしたら褒める。
悪いことをしたら叱る。
いわゆる『しつけ』というやつだ。
その『しつけ』の通りに行動するようになったら、その人は誰にとって都合のいい人間になると思う?


相手の意見を無視して、自分の価値観を押し付ける行為だね。


君は全知全能の神様じゃない。
いろんな間違いや矛盾を抱えた、ただの一人の人間なんだ。
YOUTUBE【ゆっくり解説】
正しいと思った瞬間に
間違いが始まる
わたしが陸上部の先輩だったとしたら、後輩よりも『速く走る方法』を知ってるはずよ。
それはわたしが正しいという事じゃないの?


君の言う通りに走って、速く走れる人もいれば、そうじゃない人もいるはずなんだ。
人はみんな同じじゃないんだから。
たしかにそうかもしれないわね。
イチローの打撃フォームも、最初は否定されたんだものね。
バッティングの教科書どおりに矯正してたら、メジャーリーガーのイチローは生まれなかったかもね。


だいたい、メジャーリーガーの打撃や投球フォームなんてめちゃくちゃじゃないか。
それでも結果を残せるのは、人それぞれ、ふさわしいやり方があるってことだろう。


たしかに、君が正しいと思うやり方でうまくいくときもあるだろう。
でもそれを、他人に押し付けちゃいけない。
それは未来のイチローをつぶしてしまう事になるかもしれないし、
後輩が自分に合ったやり方を、自分で考えて見つけ出すという、
自立のチャンスを奪うことになる。
「そういうやり方は腹筋を痛めるよ」とか。


先輩は後輩よりも、知識と経験があるはずだからね。
アドバイスを聞いてどうするかは後輩が決めることだけど、
先輩である君には、後輩が明らかな失敗をしないように、
自分の失敗談を話したりして援助する役割があると思うよ。
これって課題の分離の話じゃない?


『課題の分離』の話で言うと、アメとムチっていうのは、
まさに相手の課題に踏み込んでしまう「介入」そのものなんだ。
課題の分離とは?
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アドラー心理学⑤「課題の分離」で人間関係をすっきりさせる
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課題の分離を実践するコツとは?親子など5つの具体例を紹介する
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「こういうふうに走れ!」って強制したら介入になっちゃうわね。


アメもムチも使わずに、どうやって相手をコントロールするのか?
そもそも相手を操作するっていう発想が『介入』を生むんだ。
「自分が正しい」と決めつけるから相手を操作したくなる。
操作しようとすることは、相手の課題に踏み込む『介入』になる。
介入してしまうと、相手が自分の課題を、自分で乗り越えるチャンスを奪ってしまう。
つまり、自立を邪魔してしまう‥‥


課題の分離は、分離した後が大事だと前に話したけど、
横の関係を作るというのは、その
「分離した後どうするか?」
の話なんだ。
相手の課題に踏み込む「介入」
じゃなくて
踏み込まずに協力する「援助」
をしないといけないんだ。
横の関係で近づいていく


そう思うのは、君が『縦の関係』で生きているからなんだ。
ヨコじゃなくてタテで生きている。


『上』の人が、『下』の人に対してする行為なんだよ。
見下しているんだ。
上と下の関係だから『縦(タテ)の関係』ということだね。
わたしが人を褒めるときは、相手を見下したりしてないわ。
本当に「すごい」とか「えらい」とか思ったから褒めるのよ。




「ありがとう」って言うわね。
「えらいね」なんて言ったらバカにするなって怒られそう。


「そんなことできるなんて思ってなかった」っていう続きがね。
ひとりでジュースも買いに行けないと思われたら、君の彼氏がバカにされたような気分になるのも当然だ。


たとえ相手が小さい子供であっても『ヨコの関係』では対等なんだ。
君の態度が相手によって変わるのは『タテの関係』で生きてるからだ。
子供を対等な人間だと認めていたら、素直に「ありがとう」って言うはずなんだよ。
子供も 大人も 老人も
新入社員も 社長も
妹も 母親も
同じように接しろっていうの?


礼儀というものがあるからね。
でも気持ちの上ではみんな対等だ。
人間には上も下も無いんだ。
その横の関係は、どうやって作ればいいの?


「横の関係」を作るための具体的なテクニックをわかりやすくお伝えするつもりだよ。
ここからも伝えたい話が山ほどあるからね。
それって褒めたんじゃないの?


僕もまだまだ未熟だってことさ。
それだけアドラー心理学を実践するのは難しいってことだよ。


もっと頑張らないといけないなぁ。

次回を動画で確認
次回に進みます
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アドラー心理学⑨「横の関係」で生きるひとは他人と対等につきあう
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今日のまとめ
アメとムチ(褒める、叱る)というのは相手を自分の都合のいいように操作する手段。
それは「課題の分離」の考え方では、他人の課題に踏み込む「介入」になってしまう。
「介入」は相手の「自立」を邪魔してしまう。
必要なのは「介入」ではなく、相手の課題に踏み込まずに貢献する「援助」。
「横の関係」を作れば、アメもムチも使わずに済む。
アドラーは「承認欲求」を否定する。
「承認欲求」があると、他人との間に「横の関係」ではなく「縦の関係」を作ってしまう。
対人関係の入り口である「課題の分離」をしたあと「介入」ではなく「援助」をするにはどうしたらいいのか?
↓ ↓ ↓ ↓
他人との間に「横の関係」を作る。
その具体的な方法とは? → 次回
次回に進みます
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アドラー心理学⑨「横の関係」で生きるひとは他人と対等につきあう
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