アドラー心理学㉔『愛』は決断することから始まる

    目次

    今日のテーマ

    いよいよアドラー心理学の『愛』を解説する段階まで来たわね。

    世間一般に持たれている、愛への誤解を解く話だから超重要よ。

    愛への誤解‥‥?

    世間のみんなが、どんな誤解をしてるって言うんだ? 

    愛だの恋だのというのは、すべて運命的なものでは無いの。

    私も魔理沙も、人を好きになる時は、自分で『好きになること』を決断しているのよ。

    「自分の意思とは関係無しに、勝手に好きになっちゃう」っていうのは間違いという事ね。

    ??? 好きになる時は、好きになることを決断している?

    運命的なものじゃない?

    そう。まずは『他人を愛する流れ』を解説していくわね。

    愛するとは決断すること

    ちなみに魔理沙は、愛についてどんなイメージを持ってる?

    うーん‥‥ 愛ねぇ‥‥

    いろんな解釈があって、人それぞれ語る『愛』は違うわよね。

    他人に厳しい愛を語る人もいれば、自己犠牲を愛と考える人もいる。

    そうだな。わたしは漠然としたイメージしか持ってないぜ。

    じゃあ、もう少し踏み込むわよ。
    魔理沙はどんな時に人を好きになる?

    それなら考えやすいな。

    背の高いイケメンが、優しくしてくれたら好きになる。

    小学生みたいな答えね。

    なんだよ。
    自分に正直に答えたら、だいたいみんな同じ答えになるはずだぜ。

    お金持ちとか、仕事ができる人とか、そういう答えもあるだろうけどな。

    そういう人が現れたら、好きになっちゃうってことね。

    そうだな。
    知らないうちに好きになってて、気になっちゃう感じだぜ。

    恋に落ちるってやつ?

    そうそう。自分の意思とは関係無しに好きになっちゃうんだぜ。

    それの強烈なやつが、運命の人と呼ばれる相手なんでしょうね。

    その通りだぜ。

    アドラーが、運命の人を否定するとしたら、魔理沙はどう思う?

    えー? そんなの有り得ないんだぜ。

    運命の人と結ばれるストーリーなんて、昔からたくさんあるじゃないか。

    たしかにそんな話はよく聞くわね。
    でも、否定するのよ。

    どうしてだ?

    運命は 自分で決めるもの だからよ。

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    運命の人はどこにもいない

    魔理沙が人を好きになるのは‥‥

    「この人を好きになる」って、魔理沙が決断するからなのよ。

    えー? そうなのか?

    人を好きになる時って、勝手に好きになっちゃうんじゃないのか?

    「この人を好きになるぞ」なんて、決断した覚えはないんだぜ‥‥

    意識はしてないかもしれない。
    でも魔理沙はさっき言ったわね。

    「優しくされたら好きになる」って。

    たしかに言ったな。

    冷たくされてたら、好きにならないんじゃない?

    まぁ、そうかもしれないな。

    凄いイケメンが現れても、相手にされてなかったら、本気で好きにはならない気がするぜ。

    それはどうしてかしら?

    顔、性格、身長が同じであっても、優しくされたら好きになって、冷たくされたら好きになれない。

    ・・・

    答えは決まってるわ。傷つきたくないからよ。

    好きになっても、その気持ちを拒絶されたらツライからよ。

    ああ、なるほどな‥‥

    逆にこんな経験はない?

    なんとも思ってなかった人に優しくされて、なんとなく気になる存在になってしまう。

    それは子供の時にあったぜ。

    ‥‥今でも似たようなことあるかも。

    もしかして、この人はわたしのことが好きなんじゃないか?

    こんなふうに感じたから、気になる存在になっていく。

    この人を好きになったらどうなるだろう?と想像をふくらませる。

    うん。恋愛に憧れる時期にはありがちだと思うぜ。

    想像を楽しんでいる内に、こんなふうに思い始めちゃうかもね。

    私はこの人が好きなんじゃないか?

    そんな事を思っていたら、違う女の子への態度がどんどん気になってくる。

    ありがち過ぎるくらい、ありがちな展開なんだぜ。

    なんとも思ってなかったはずなのに、いつの間にか好きになる。

    こんな展開が始まるのって、こんなふうに思うからじゃない?

    この人を好きになっても大丈夫
    自分の気持ちを受け入れてくれそう

    好きになっても傷つくことはない

    言われてみればそうかもな。

    「この人を好きになっても大丈夫」と思うから、気になる存在になるのかもしれない。

    傷つくことを恐れる人は、好きになっても大丈夫だと思える人しか好きになれないの。

    イケメンや、年収の高い人は競争率が高いから、顔や収入以外の良いところを探して、傷つかなくて済むような相手を好きになろうとする。

    好きになりたいから、その人の良いところを探すようになる。

    ‥‥勝手に好きになってしまうんじゃなくて、好きになりたいから良いところを探す‥‥

    そう。良いところがあるから好きになるんじゃない。

    好きになる為に良いところを探す。

    好きになりたいから、好きになれそうな『手がかり』を探す‥‥

    そうそう。そんな感じ。

    ふむ、なんとなくわかってきたぜ。

    優しくされて、気になる存在になったら、その人の『良いところ探し』が始まるんだな。

    好きになることが目的なんだから、良いところはいくらでも見つかるわ。

    好意的な目で見たら、みんなが短所だと感じるところでさえ、良いところに変換される。

    そうだな。みんなが乱暴だと思う行為でも、好意的に見たら「男らしい」とか思っちゃうかも。

    この流れは、人を嫌いになる時も同じなのよ。

    あるきっかけで「この人を嫌いになりたい」と思い、そこから悪いところ探しが始まるの。

    今までなんとも思っていなかったことが、ある日突然、不快に感じるようになったりするわ。

    ああ、それはあるかもな。

    彼氏の全てが好みだって言ってた子が、浮気された瞬間から全てが逆転したのを見たことあるぜ。

    『運命の人』が『クソ野郎』に格下げされてて笑ったんだぜ。

    ここまで話したら、その理由もわかるんじゃない?

    そうだな。友達の気持ちになってみたらわかる気がするぜ。

    浮気されて私の気持ちは裏切られた

    この人は『運命の人』ではなかった


    だから、もう一緒にいる必要はない


    離れないといけない

    あっさり離れられるように、嫌いになってしまいたい

    魔理沙はその手の想像がうまいわね。
    わたしより共感の才能があるわ。

    まだ終わってないぜ。

    嫌いになりたいから、悪いところを探すようになる。

    悪意的な見方をするんだから、すべてが『悪いところ』に変換される。

    そして、めでたく『嫌い』になる

    そんなふうに考えないと、大好きから大嫌いへの、極端な気持ちの逆転は説明できないわ。

    なるほど。たしかに、まず自分で好きになるかどうか、嫌いになるかどうかを決めてる気がするぜ。

    自覚はなかったがな。

    人は、無自覚に、好きになるか・嫌いになるかを決めているのよ。

    そこから良いところを探したり、悪いところを探したりするんだな。

    その通り。人は、どんな人でも好きになれるのよ。

    他人の目を気にせず、傷つくことを恐れなければね。

    だから『運命の人』なんていない、という事になるんだな。

    『運命の人』というのは、傷つくのを恐れる人が使う、目の前の恋愛から逃げる言い訳なのよ。

    人を愛したら、楽しいこともあれば、傷つくこともあるわ。

    目の前の人を愛する勇気がないから、まだ見ぬ白馬の王子様が、いつか私の前に現れる、と期待してしまう。

    そんな絵空事を期待する前に、今近くにいる人を愛すると決めて、

    さっさとふたりで幸せになれって言いたいんだな?

    ちょっと乱暴だけど、ニュアンスはそんな感じかな。

    「傷つくのが怖いからって、どこにもいない王子様を探すな」

    「周りにいくらでも相手はいるだろ」って、アドラーは言うかもね。

    なんか、恋愛の素晴らしさが減っちゃった気がするけどな‥‥

    ふふ、わたしも最初はそう感じたわ。

    相性バッチリの完璧な相手が、この世のどこかにいるはずだって思ってた。

    でも、いない。
    いるはずがないの。

    わたしが生きてるこの世界は、わたしの為に存在してるんじゃないからね。

    ‥‥よく考えたらそうだな。

    自分の都合をすべて満たす相手を求めるなんて、自己中心的すぎるぜ。

    恋愛の、美味しいところだけを持って行こうとしてるんだからな。

    そうそう。
    傷つくリスクも冒さずに、楽をしたがって、良い思いだけをしようなんて、身勝手すぎる発想よ。

    傷つくことを恐れずに決断する

    だから、アドラー心理学の『愛の課題』を乗り越えるために、最初にやるのは決断することなのよ。

    傷つく事を恐れず「この人を愛する」と決断するんだな?

    そうよ。
    告白したら振られるかもしれない。

    付き合った後も、いやな事、つらい事があるかもしれない。

    でも逃げちゃいけないのよ。

    「この人と一緒に幸せになるんだ」って、決断することから『愛』は始まるんだからね。

    相手は誰でもいいんだな?

    極端に考えるとそうなるわね。

    自分の決断しだいで、どんな相手でも愛することが出来るはずよ。

    ‥‥まぁ誰でも愛せるって言うのは、ちょっと極端かもな‥‥

    わたしは不潔な人を愛せる自信はないんだぜ‥‥

    そうね。
    「できる」とは言っても、誰でも愛せるような境地に達するのは、現実的には難しいと思うわ。

    でもわかったぜ。「出会いが無い」ってばっかり言ってる人は、決断することから逃げてるだけだって。

    自分で決める事なのに、都合のいい相手を探し回ってるだけだって。

    わがまま言ってイヤな事から逃げたら、対象が絞られるのは当然だぜ。

    それがわかってくれたら十分よ。

    傷つくことを恐れたら、得られるものも少ないのよ。

    しかしな、霊夢。

    告白とか付き合うとかの話をしているが、愛の課題って、恋愛相手を見つけることなのか?

    ああ、勘違いさせちゃったわね。そうじゃないのよ。

    わかりやすく恋愛っぽい話をしてきたけど、一緒に幸せになる相手は恋愛に限らないわ。

    年齢・性別も関係ない。
    相手は子供とか友達かもしれない。

    貢献し、貢献され、協力し合って、一緒に幸せになりたい相手なら、どんな人でも対象になるわ。

    ふむ。そうなんだな。

    なんたって、愛の課題を乗り越える目的は、『新しい共同体を作って自立すること』だからね。

    んん? なんだって?
    新しい共同体を作る? 自立?

    ついに最後の解説まで来たのよ。

    愛の課題から、自立へつながる道。

    次回これを話して、全25回の解説も終了となるわ。

    ふむ、イマイチよくわからないが次回に期待だな。

    とりあえず今日は、『愛』っていうものが自分で決めるものだって理解できて良かったぜ。

    『愛』について、何かしらの見方を手に入れる事は、人生の色んな場面で役立つからとても重要よ。

    アドラー心理学が全てではないけれど、愛への解釈をひとつ手に入れられるように、次回も解説するわね。

    次回に進みます

    前回の内容

    嫌われる勇気の徹底解説

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