今日のポイント
劣等感を味方につける話
YOUTUBE【ゆっくり解説】
今回は、劣等感を味方につけて克服する話です。
劣等感は2種類あります。
成長を助ける良い劣等感と、
成長を邪魔する悪い劣等感です。
劣等感をバネにして成長するのが良い劣等感。
心が折れて努力しなくなるのが悪い劣等感です。
この2つは
物事の受け取り方(解釈)で変わります。
起こった出来事は同じでも、
プラスに解釈する人もいれば
マイナスに解釈する人もいます。
この『解釈のくせ』を直せば
悪い劣等感を良い劣等感に変えられます。
人間の性格というのは『解釈のくせ』です。
アドラー心理学では、
性格ではなくライフスタイルと呼びます。
前回の内容
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アドラー心理学⑪「劣等感」はどんな仕組みから生まれるのか?
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ライフスタイルとは


前回の最後に話した性格も、ライフスタイルに含まれるんだ。
おおざっぱに言うと、『自分の外の世界をどのように見ているのか?』ということだね。
その『くせ』がライフスタイルだ。


同じような経験をしても、楽観的にとらえる人もいれば、悲観的にとらえる人もいる。
ライフスタイルが生まれつきのもので、決して変えられないものなら、
それを理由に課題から逃げてしまうのも、まぁわからなくもない。


そのライフスタイルを選び続けて『くせ』になってるだけで、ちがう生き方を選ぶこともできるんだよ。


たとえ乗り越えられなくても、何かのせいにして課題から逃げるんじゃないんだろうね。
「今はまだできないけど、あきらめたら終わりだから頑張ろう」
「理想が高すぎた。もう少し現実的に考えてみよう」
「どうもこのやり方は自分に向いてないみたいだ。ちがうやり方を試してみよう」
このように『やるべきこと』から逃げずに、『今の自分』でどうやったら乗り越えられるかを考えるんだ。
他人と比べて頑張るんじゃなくて、理想の自分に向かって頑張るって感じがするわ。

良い劣等感と悪い劣等感

理想の自分と現実の自分を比べるのが良い劣等感なんだ。
他人と比べるのは悪い劣等感だね。
劣等感って他人と比べるから生まれるんじゃなかったっけ?
他人と比べて生まれるのが悪い劣等感なんだったら、劣等感はすべて悪い劣等感ということにならない?


そのとおりだ。
他人と比べて、自分の方が劣っていると感じるのが劣等感だね。


これも他人と比べるから悪い劣等感なんだけど、ここから良い劣等感にも変化するんだ。
それが『良い劣等感』になるのか?
『悪い劣等感』のままなのか?
どこでちがってしまうの?


受け入れるのか?
否定するのか?
ここで道が分かれてしまうんだ。


「こんな私はイヤだ!」
「絶対に認められない!」
そんな状態だね。


「今の自分に出来ることは何?」
このように『今の自分』で出来ることを考えて、その考えをもとに理想の自分を作って、
その『理想の自分』に向かって少しでも前に進もうとする劣等感だね。
素直に受け入れて、そこから少しずつでも前に進もうとするのか‥‥


程度が軽いし、「優越性の追求」につながるから必要だとも言える。
でもそこに「劣っている自分を否定する」ということが加わってしまうと悪い劣等感が完成してしまう。
最初の劣等感から良い劣等感に変化する場合もあれば、程度の重い、悪い劣等感に変化する場合もある。


劣っている自分を『受容』するか『否定』するかで違ってしまう。
「程度は軽いけど悪い劣等感」
劣っている自分を受容するのは
「良い劣等感」
劣っている自分を否定するのは
「悪い劣等感」
こんな感じで理解しておけばいい?


その3つの劣等感のうち、悪い劣等感をもうすこし深く掘り下げるよ。
劣っている自分を否定するのが悪い劣等感なんだけど、その否定をする時に2つの道に分かれるんだ。
YOUTUBE【ゆっくり解説】
2種類の”悪い劣等感”
悪い劣等感は2種類あるってこと?


劣っている自分を受け入れることが出来なくて、否定する時に選んでしまう2つの道。
それが逃げる道と強がる道だ。
なんだかよくわからないわ。


前回に話した劣等コンプレックスは覚えているかな?
目の前のやるべきことから逃げるために、劣等感をいいわけに使う。
ありもしない『原因』を作り出して、そのせいで自分はできないと思い込むのよね?


「課題に向き合う勇気をくじかれたら、課題から逃げてしまいがちだ」
こんな話をしたね。


この劣等コンプレックスが、劣った自分を否定して逃げる道なんだ。
それとはまったく逆の、劣った自分を否定する方法として、優越コンプレックスというのもあるんだよ。


劣等コンプレックスは課題から逃げる自分を正当化する手段。
優越コンプレックスは、出来ると見せかけて他人をだます手段なんだ。


君は自分の知らない事を、知ってて当然のように聞かれた時に、
「知ったかぶり」した経験はない?
「知らない」って言うのが恥ずかしくて、知ってるフリをしてしまうことはあるわ。


「知らない」って素直に言えばいいのに、知ってるフリをしてしまって、その後の会話に困るってのはありがちだよね。
たしかに、知らない自分を受け入れていたら素直に「知らない」って言うでしょうね。
だって実際、知らないんだから。


これはどうしてだと思う?


「知らない事がたくさんある自分」を受け入れてる人なら、恥ずかしいと感じずに素直に聞けるだろうね。
強がるより教えてもらった方が、自分にとってプラスになるはずよ。


そして、その否定をする時に選ぶ道は2つあるということだね。
『劣等コンプレックス』
『優越コンプレックス』
劣った自分を「受容」するのか。
「2種類の否定の道」を選ぶのか。
その選択しだいで、人生の進む先は大きく変わってしまうんだ。
ひとりになったときにその分を取り返すってことはあるんじゃない?
知ったかぶりをした後に調べたり。
できるフリをした後に練習したり。
一旦は逃げてしまったけど、やっぱり悔しくて隠れて勉強したり。
それらも一種の、自分を成長させる努力だと思うけどな‥‥


僕も経験あるよ。
逃げたり強がったりする悪い劣等感でも、他人に追いつく努力をしてチャラにしてしまえば、それはそれで良いことだと思うわ。


相手と同じレベルまで努力できたら悪い劣等感ではない気がするね。


この2つには、とてつもなく大きな違いがあるんだよ。


悪い劣等感は敵を作る




さっき知ったかぶりの話をしたけど、これは優越コンプレックスの、程度の軽い例だね。
感じるのは恥ずかしさだけだ。
もっと程度が重い場合だとわかりやすいよ。


周りの友達が年収1000万円で、自分が100万円だったとしたら、
優越コンプレックスは知ったかぶりのレベルでは済まないかもね。
恥ずかしいというレベルじゃなくて悔しい・情けないというレベルになると思うわ。


『優越コンプレックス』を選択して、自分の年収を実際よりも多く言う人がいてもおかしくないわ。


話が終わったあとも、
「いい話が聞けた」
「ありがたい」
「わたしは良い友達を持った」
「やり方を見習ってみようかな」
とか思うだろうね。


劣等コンプレックスを選択すれば、学歴とか親の教育とか性格とか、
ありもしない原因を探し出して、
「仕方ないことなんだ」と、頑張らない自分を正当化したり、なぐさめたりするかもね。
優越コンプレックスを選択すれば、年収1000万円の自分を演じるかもしれない。
無理して高い服を着たり、高い車に乗ったりしそうよね。


年収が増えても悔しい思いを持ち続けると思う。




勝った負けたの勝負の世界。
つまり『競争』という状態だね。
劣った自分を受け入れない人は、常に他人との競争の中で生きることになる。
競争相手とはつまり‥‥


劣った自分を受け入れる人にとっては、優れている人はすべて自分にとってプラスになる人だから、味方だと感じる。
努力する勇気を与えてくれる。
一緒にいてくれてありがたいと感じる。
良い劣等感は心が折れにくい
悪い劣等感だと、相手に勝てなかったらすべての努力が『失敗』になってしまうわね。
良い劣等感は『理想の自分』に向かって進むから、これはさすがに無理だと感じたら修正できる。
それにすこしでも前に進めたら、それが成長や自信になるし次の努力につながる。
努力を『失敗』と感じて心が折れることはなさそうね。


逃げたり、強がったりしてしまったら、それは悪い劣等感だ。
良い劣等感は、すこしでも前に進んでいれば常に充実してて自信になるから苦にならないよね。
母親がいつも取ってた90点が取れなかったら、悪い劣等感だったら全ての努力が失敗になっちゃうわね。


『失敗』だと感じてしまって、その状態が続いたら努力することから逃げたくなるのもわかるよね。
最初に50点を取った時に、
「自分と母親はちがう」
このことを受け入れられなかったのが問題なんだ。
50点の自分を素直に受け入れて、そこから少しでも前に進もうと考えたら、ぜんぜん感じ方が変わる。
70点を取ったとき感じるのは
「また失敗だ、僕は頭が悪いんだ」
じゃなくて、
「僕は頑張ったぞ、成長したぞ」
になるだろうね。
それが『解釈』のちがいなのね。
同じ70点でも、
『失敗』と解釈するのか。
『成功』と解釈するのか。


そのわかれ道をどちらに進むかは
「劣った自分を受け入れられるかどうか」で変わるということだね。




次のテーマはそれだよ。
解釈の話はすこし出たけど、ライフスタイルを変える話はまだ終わってないしね。


自分を受け入れる話の前に、劣等感をわかりやすく図にしたから、今日の話を忘れないうちに次回を見ておいて欲しいな。
短かめでわかりやすい内容だから。

次回を動画で確認
次回に進みます
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アドラー心理学⑬【良い劣等感】と【悪い劣等感】のイメージ図
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